Ghost Gardens
霊異の庭園
『霊異の庭園』 は、元ショールーム施設に設置されたインスタレーションで、壁に取り付けられた損傷したデジタルタブレットの列と、コンクリートの破片、ビニールシートによって作られた「庭」です。壊れかけたスクリーンのタブレットの数々は、中古品販売店から入手し、日本の庭園デザイン、特に石の配置とその禁忌に関する古典的な日本のマニュアルである「作庭記」からの断片的なテキストを表示します。これらのテキストはAIのナレーターによって読み上げられ、「石」という日本語の単語の断続的な繰り返しとともに、インスタレーション内で何度も登場する石の存在によって特徴付けられる視覚的ノイズをマッピングします。
コンクリートの断片は、島のような形状で配置されており、各島は大きな中央の部分とそれを囲む小さな部分から成ります。石のように見えて中は空洞で、ビニールシートは自然の形状を模倣しながら、都市環境で一般的な視覚的モチーフを反映しています。一時的なカバー、保管、保護などの建設関連の活動を喚起し、急速な解体と再建のサイクルが特徴的な東京の都市開発とジェントリフィケーションのダイナミクスを反映しています。これらの現代都市を取り巻く背景が、「作庭記」によって定義された石の配置の規則と禁止事項と繋がり合います。
散りばめられたコンクリートの断片は、解体材料のリサイクルに特化した東京の廃棄物処理施設の協力を得て取得しています。伝統的な庭園の石と同じ注意深さで選ばれたコンクリートの断片は、さまざまな東京の構造物から独自の記憶を持ち、日常の美学を強調する一時的な庭を形作っているのです。
"Ghost Gardens" is an installation situated in a vacant shopping mall warehouse, features an array of damaged digital tablets mounted to the wall and a "garden" made of concrete debris and tarpaulins. The tablets with broken screens, sourced from second-hand electronics shops, display fragmented text from the Sakuteiki, an old Japanese manual on garden design, particularly rock arrangements and their taboos. The texts, spoken by artificial intelligence narrators, produce a layered auditory environment with the intermittent repetition of the Japanese word 'rock', mapping the visual noise characterized by the repeated presence of rocks in the installation.
The concrete pieces are arranged in the installation in island-like formations, each consisting of a large central piece and smaller pieces surrounding it. Resembling rocks yet hollow within, the tarpaulins mimic natural forms while echoing common visual motifs in urban environments. Evoking construction-related activities like temporary coverings, storage, and protection, they reflect the dynamics of Tokyo's swift urbanization and gentrification, characterized by rapid cycles of demolition and reconstruction. This context combines with the ambient sounds of Sakuteki's teachings on the rules and prohibitions of stone arrangement.
The concrete pieces in the installation come from a Tokyo recycling facility specializing in leftover demolition material. Chosen with the same meticulousness as rocks for a traditional garden, each concrete piece in the installation carries its own memory from various Tokyo structures, contributing to a temporary garden that highlights the aesthetics of the everyday.
Tokyo Biennale 2020
ブスラ・トゥンチ+ケレム・オザン・バイラクター
東京の工業空間、余白、境界、定義されていない場所で記録した、ドローイング、グラフィック、3D映像からなる本プロジェクトは、都市空間とそこで育つ植物の生態系や、自然と都市の区別を曖昧にする新たなエコシステムに焦点を当てています。
マルチチャンネルの映像インスタレーションでは、インフラシステムや抽象的な形の工業製品、廃墟やコンクリートに覆われた大地に自生する植物が次第に広がってゆく様子、これらの要素が伝統的な園芸手法に言及しながらグラフィックやテキストを通じて展示されます。この奇妙で新しい都市の自然の中に日本庭園特有の美意識を見出しながら、植物や石の歴史的な記憶や変化、そしてそれらが共に現在に何を示すのかを探っていきます。
新しいものの中に伝統を見出すように、コンポジションやコラージュの内容に用いられるイメージは、伝統と近代、自然と都市、人間とその他の生物などの区別の不可能性を明らかにし、文化や生物学の性質上必要なハイブリッド性を示しています。
Kerem Ozan Bayraktar(アーティスト、学者)
イスタンブールを拠点に、SAHA Studio(イスタンブール)で活動し、Sanatoriumの代表を務める。
身体的な環境、そしてコンセプチュアルな環境の構築を中心に作品を制作する。デジタル上での可視化や、写真、アニメーション、モデル、日常的なオブジェクト、テキスト、グラフィックを用いて、自然と人工というシステムにおける障害や境界、崩壊や変化などの振る舞いに焦点を当て、どのように人々はそれらを認知することができるのか考察する。これらのシステムは、自然発生的な都市の植物から太陽系外惑星に至るまで、様々な組織を構成し、内容によっては大きく異なるものもあるが、共通のシステム原理が見出される。
最近では、「Berlin Senate Residency Program」や「Istanbul Biennial Production and Research Programme」のプログラムに参加し、「Rocks and Winds, Germs and Words」展(2019年、Sanatorium、イスタンブール)など過去に6回の個展を開催。また「Ubiquitous Surfaces」展(2019年、Seager Gallery、ロンドン)、「The Sound of No-one Listen」展(2019年、The Corridor Art Space、アムステルダム)、「Openhaus」展(2019年、ZK/U、ベルリン)、「Istanbul Biennial Digestion Program」展(2019年、MSFAU、イスタンブール)、「flesh and bone」展(2019年、Operation Room、イスタンブール)などのグループ展に参加。
批評とメディアの実践プロジェクト[RELATIONS]
東京ビエンナーレの企画のひとつ『RELATIONS:批評とメディアの実践のプロジェクト』がビエンナーレの会期中、都市空間に飛び出します。LIVE RELATIONS vol.01では、二日間に渡ってアーツ千代田3331で東京ビエンナーレの参加アーティストや市民、スタッフ、そしてそれを取り巻くさまざまな人々の間を取り持ち、議論の場を提供したいと思います。
初日17日(土)は、残念ながら新型コロナウイルスのために来日することができなかった海外作家たちとオンラインでつないで、来日ができない状況でどのような作品を作ったのか、この状況をどのように感じているのか、議論します。 司会は、毛利嘉孝(RELATIONSディレクター)。
二日目は18日(日)は、RELATIONSの編集委員が東京ビエンナーレを回った後、それぞれの専門と関心の立場から、東京ビエンナーレ、コロナ禍における国際芸術祭の現場、芸術と社会、政治、経済の関係、そして、今日のアートと市民の関係を議論します。
[日時]
2021年7月17日(土)13:00~22:00
Buşra Tunç & Kerem Ozan Bayraktar
Tokyo Biennale 2020 SOCIAL DIVE Artist-in-Residence Projects
Buşra Tunç + Kerem Ozan Bayraktar
*This project has been partly cancelled due to the COVID-19 infection that prevented the artist from coming to Japan.
Biennale catalog: Tokyo Biennale 2020/2021
Unseen Everyday Scene -Purityx Earnestness x Deviation